自然栽培とは 実現するために行うこと

■肥毒を意識する
自然栽培は土の過去を清算することで、つまり過去に使われてきた肥料や農薬を取り除いていくことで、大自然に本来備わる土の偉力、大自然の力を発揮しようとするものです。

つまり「肥毒」を取り除くことに自然栽培農家は意識を向けていく必要があります。そして大自然の潜在能力を受け止められる理想とする土を作る必要があります。それが肥毒が抜けた上で、腐植豊かな「あたたかく、やわらかく、水もち水はけのいい土」です。

■土を掘って土を見て土の歴史を知る
自然栽培に取り組む農家さんには、土を掘っていただいています。そして土質を見ていただきます。肥毒があるのか無いのかを見ます。過去に使ってきた肥料や農薬の状況を確認します。土の構造・性質を確認します。
そして周りの地形を確認します。山だったのか田んぼだったのか、川のそばなのか海の近くなのか、川ならば上流か下流かなどを観察します。土は砂なのか火山灰土なのか、礫なのかなどなどを確認します。そして、健康診断をした後に、その状況に合わせて計画を立てていきます。


■事務局を勤めるナチュラル・ハーモニーの例 
〜同じ土に継続して向き合う、自然栽培の圃場登録〜
肥毒を抜くことと、水もち水はけを良くすること。この自然栽培をまず一定の土地で継続して取り組むことを農家さんには決めていただいています。一度自然栽培に取り組むと決めた場所、土地に関しては、継続して半永続的に自然栽培に取り組むこととなります。なぜなら土から本当に肥料や栄養分が無くなったとき、大自然の力が発揮され始めるからです。それこそ、雑草が育たなくなるくらいの土になって、はじめて自然の力が発揮されるといいます。そして圃場登録という手続きをして、その田畑の地図を提出していただき共有しています。


■自然栽培の土作り計画
土の過去、土の状態を診断して、10年、20年かけて理想的な土を作っていくための計画を立てます。これが自然栽培における「土作り計画」です。経営を守りながら過去を清算するプログラムを立てるのです。自然栽培に取り組むに当たり、一度はできなくなる場合もあるので、少しずつ経営を圧迫しない面積から取り組むようにします。
半永続的に取り組む場所を決め、土を診断し、土の過去を清算し、「肥毒」を抜き、大自然の力を発揮できる土をつくる計画を10年、20年の長さで考えていくのです。


■肥料・農薬をただ与えなければいいという農業ではありません。
このように自然栽培は、肥料や農薬を与えなければそれでいいという農業ではありません。ここに記していることが正しいと言いたいのではありません。本当に自然栽培を成功させるには、肥料・農薬を与えないだけでは無理なのです。肥料・農薬を使わないだけでは、できないという現実を突きつけられます。

どんなに信念のある方でも、経営がぐらつけば、思いもゆれます。そうしたタイミングで家族の批判、地域の批判は高まります。本人が揺れたときほど高まるものです。本当に成功するには肥毒を解決し、土をはじめとする環境の上に生きる植物の生きるプロセスに向き合っていかなければならないのです。それは農家の言葉で言えば、植物の生き様に向き合うことです。

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