役員及び生産者紹介
会長 河名 秀郎 氏 | |
---|---|
健康とは何かを模索し、1年間の農業研修を経て自然栽培の理念を学ぶ。1986年にナチュラル・ハーモニーを設立。自然栽培青果・天然菌醗酵食品の個人宅配・自然食品店・レストラン運営を展開し、生産者や消費者向けセミナーで、大自然を師と仰ぐ生き方暮らし方の普及に注ぐ。2021年、自然栽培全国普及会 副会長から会長に就任。 食を考えるきっかけは姉の病気から。中学生の時に骨肉種という病気に罹りました。ご両親は、娘を救いたいという想いから西洋医学での治療以外に、効果があると聞けば様々な漢方薬・健康食品にもすがりつきました。病気が発覚してから約5年後、努力も虚しくお姉さんは亡くなりました。 手術の度に弱っていく姉の姿を見て違和感を覚えたといいます。悲しみに暮れる家族を目にし、医療とは何か、病気とは何か、生きることとは何か、そんな事を考えるようになりました。 一方、高校から大学時代はサーフィンやファッションにも夢中になりました 。 上野のアメヤ横丁に 、 仲間と古着ショップを出していたこともあったほどです。日々気ままに過ごしていましたが、いつか自分も姉と同じように病に苦しむ時が来るのではないか。そんな恐怖と不安を抱きながら、身体や食に関する書物を読み漁り、健康とは何か模索していました。 一般に流通している野菜には、殺虫に多量の農薬が使われていること、作物の生長を強制的に促進させるために大量の肥料が使われていることを知り、食べ物が不自然で健康的ではないことがわかりました。 「こういうものを食べて健康な体をつくれるのだろうか」と、現代の食事情に疑問を感じるようになりました。 その後自然栽培を知り、 肥料も農薬も使わず土と作物の持つ本来の力だけで育つ野菜が存在することに驚きました。人もこんな野菜のように生きることができるのではないか。自然と寄り添い、自然から学ぶこと。そんな自然と調和した生き方ができれば、病気はなくなるのではないか。そう考えるようになると、希望が生まれました。 大学卒業後はハーブティを販売する会社に就職しました。しかし自然栽培を肌で学びたいと思い、千葉県の自然栽培農家 の元で研修に入りました。生まれて初めての農作業は、毎日くたくたになる程だったそうです。 肥料を施すと土の力を退化させてしまうことや、肥料や農薬こそが作物が虫や病気に侵される原因だということを知りました。書籍の中で知り得た自然栽培の理論が、農業を体験したことで確信に変わりました。 研修を終え東京に戻った後、ローンを組んで買った古びたトラックで野菜の引き売りを始めました。農業をやりたいというよりも、自然栽培の思想を世に広めたいという考えが強くあった ためです。思想や思いを言葉で伝えることだけでは難しく、それを証明できる媒体が必要でした。 そこで、一番象徴的な物はやはり農産物だと考えました。実際に見て・感じて・食べてもらうことで、いのちのありがたさや自然の法則を知ってもらおうと考えました。 当時、自然栽培という言葉はほとんど認知されていませんでした。説明をしても、肥料を使わないことで逆に野菜に栄養がないのではないかと思われ、自然栽培だからと購入してくれる人はほとんどいませんでした。缶ジュースを買うお金さえなく、売れ残った野菜を食べては引き売りを続ける生活が数年続きました。「 お金はなかったけど、逆に生命力溢れる野菜を毎日食べ続けたおかげで、自分の身体の土台がつくられたんじゃないかな。当時金銭的には 相当苦しかったけど、今ではあの時代に感謝してるよ」 。当時を振り返ります。 常連さんや農家さんのおかげもあり、引き売りを始めて3年後、東京都世田谷区に3坪ほどのお店を構えることができました。その後、ナチュラル・ハー モニーを設立。 今まで培った経験や想いを伝える場をつくりたいという願いからできた店が、神奈川県 横浜市の「インターナチュラルガーデン プランツ(現在は移転しナチュラル&ハーモニック プランツと改名)」です。自然素材を使った雑貨・ 家具・衣類・食品全てを一つの空間に集め、 より自然と調和したライフスタイルを提案できる場です。食だけにとどまらず、身に着ける衣服・ 家具なども化学物質が多用されていることに 気づいて欲しい。生活一つひとつに目を向けて、 食べるもの・暮らし方・考え方を総合的に意 識することで初めて調和のとれた暮らしに繋がっていくと考えました。 姉の死から、いつか自分も彼女のような局面を迎えるのではないかという恐怖が頭から離れませんでした。しかし、「自然栽培」という世界観がそれを一蹴してくれました。 そもそも自然と調和さえしていれば、病気なんていうものはない。自然との調和のズレが病気の原因であること、そして病気の症状はそのズレを元に戻そうとする現象ということを知りました。それならば自然と調和することを阻害するものはいったい何か。それを探求することが人生に課したテーマとなったそうです。ふと振り返ると、今日まで病院や薬にも頼らず、元気に楽しく生きてきた自分がいます。 今でこそ店頭に立つ機会はほとんどありませんが、 消費者向けのセミナー「自然栽培から学ぶ医者にもクスリにも頼らない生き方」を全国で開催し、また生産者に対しても自然栽培の普及を目的とした勉強会など活動を続 けています。 「病気になるには方程式があって、その方程式を自分の体験を通して伝えることで、聞いた人たちがそれぞれの生活に取り入れてもらえたらこんなに嬉しいことはないです。 必要としてくれる人たちがいる限り、情報を発信し続けていきたいです」 |